最高裁判所第二小法廷 昭和38(オ)1368 判決
主 文
本件上告を棄卸する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人北見仲意の上告理由第一点について。
論旨は、原判決が本件建物および本件宅地が上告会社の所有に属した旨判示した
のは既判力に違反する旨主張する。
しかし、論旨が主張する訴訟(以下別件訴訟と称する)における請求の原因がか
りに、本件上告会社の本件建物に対する所有権にもとづいて本件被上告人に対し本
件建物の明渡ならびに賃料および賃料相当損害金を請求をするものであったとして
も、右別件訴訟における訴訟物は、単に所有権にもとづく家屋明渡請求権ならびに
賃料請求権および賃料相当損害金請求権にすぎず、別件訴訟の確定判決の既判力は
右訴訟物についてのみ生ずるにすぎないのであり、所論のように別件訴訟の確定判
決が訴外Dが本件上告会社に現物出資をせず本件上告会社に本件建物の所有権が帰
属しない旨を判断していても、右判断は単なる理由中の判断であって訴訟物として
主張された法律関係の存否に関してなされた判断でないことは明らかであり、右所
有権の存否の前記判断について既判力を生ずることはない(第一小法廷判決昭和三
〇年一二月一日民集九巻一三号一九〇五頁参照)。�
したがって、別件訴訟における本件家屋の所有権の判断について既判力を生ずる
ことを前提とする論旨は、この点ですでに失当である。のみならず、本件上告会社
が本訴の請求の原因として主張するところは、訴外Dから本件建物などを現物出資
を受けて本件上告会社においてその所有権を取得したというのであるから、所論の
主張のとおりとするならばみずからその主張する既判力に反する主張をしているこ
とになり、所論は自己に不利益な事実を主張するに帰し、この点でも失当というの
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外ない。
所論は、いずれの点からも失当として、排斥を免れない。
同第二点について。
しかし、原判決挙示の証拠によれば、原判決の認定したとおり、訴外Dが上告会
社の機関(代表清算人)として、被上告人との間に原判決の認定した売買契約が成
立し本件不動産の所有権が被上告人に移転したことを認めることができる。
所論は、結局、原審の専権に属する事実の認定・証拠の取捨選択を非難するに帰
し、採用しがたい。
よって、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
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